永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。


「実はね、私の旦那はいいとこの家の出でねぇ。私みたいな農家の家の女との結婚は、周りに反対されたの」


「それで……2人はどうやって結婚したんすか?」


いつの間にか、なっちゃんまで真剣に話しに参加している。

私も、文さんの話には興味があった。

だって、ほのかちゃんと話した時のような、そんな懐かしさを感じていたから。


人は……大切な人の話をする時、優しい顔をする。

それは、誰にでも共通なんだと実感した。


「まさか、駆け落ちとか……」

「ふふ、風花ちゃん、そのまさかよ」


ええっ、すごい、駆け落ちだなんて……。

なんだか、ドラマみたいだなぁ。



「でもね、あの人に家を捨てさせるのは、あの人の幸せを奪うんじゃないか……たくさん悩んだわ」


相手の幸せ……。

それは、私にとってのなっちゃんの幸せ。

私も、なっちゃんが私のせいで苦しむんじゃないかって、たくさん悩んでた。

でもなっちゃんは、2人の意思でここまで来たんだって言ってくれて……。



< 228 / 322 >

この作品をシェア

pagetop