永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。


「それは向こうも同じだったみたいでね、身を引こうとしていたみたい。だけど、離れていても……求めてしまうものなのね」

「求める……?」


私が聞き返すと、文さんは笑みを浮かべて頷いた。


「好きな人だもの、どんなに離れても、お互いを求めてしまう、だから……頭で考えるのをやめたわ」


「それで、駆け落ちしたんすか」


「えぇ……気づいたら、後先なんて考えずに、あの人のことだけを考えて飛び出してた……」


後先なんて考えずに、相手のことだけを考える。

それほどまでに、2人が想い合ってたってことだよね。


「でも、怖くなかったんですか……?」


自分の選択で、失うものもあったはず。

それなのに、どうしてそこまで……無我夢中に飛び出せたんだろう。

私は、いろんな可能性を考えて、不安になって……。

歩き方を、進み方を忘れてしまうことの方が多いから…。





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