永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。
「行ってらっしゃい、風花ちゃん、夏樹くん」
文さんの笑顔に見送られて、私達はここまで来た時のバイクに跨る。
「ふう、それじゃあ……最後のひとっ走りだな」
「うん、最後までなっちゃんと一緒だよ」
ギュッと、なっちゃんの腰に手を回して抱きつく。
永遠、希望、奇跡なんて見いだせなかった、絶望だけが残る世界……。
私達は、諦めかけていた夢の在処を探して、ここまでやってきた。
そして、きっと見つけられる、なっちゃんと一緒なら。
「あぁ、何があっても2人一緒にいられる道を探す。俺の道に、ふうがいない選択肢なんてねぇーからな」
「なっちゃん……うん、嬉しい」
なっちゃんが私の存在を必要としてくれてる。
それが、たまらなく嬉しい。
「んじゃあ、行こうぜふう」
「うん!!」
ーブロロロロッ
エンジン音とともに、走り出したバイク。
風が髪を巻き上げて、まるで自分が風になったかのような錯覚。
このまま風のように、なっちゃんと目的地まで行ける。
不安もなにもかも吹き飛ばして、今はワクワクした気持ちでそう信じられた。