永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。



***


バイクで海沿いを走ること1時間半、ようやく沖ノ島へとやってきた。

バイクを降りた私たちは、潮風に吹かれながら、2人、砂浜へと降りる。


「やっとたどり着いたな……」

「本当に、来たんだね……」


まだ信じられない気持ちで、周囲1kmほどの小さな島を見つめていた。

館山湾の南端、南房総まで来た私たち。


距離にして119.7km、病院という白亜の籠から飛びだしてきた私達にとっては、長旅だった。


冬でも、ちらほら観光客がいるのが見える。


「ふう見ろよ、おみやげ屋がある」

「本当だ、行ってみようよ」


なっちゃんに差し出された手に自分の手を重ねる。

私達はなんとなくそのおみやげに入ってみることにした。


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