永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。



「俺も、ふうとここに来れて良かった……」

「なっちゃん……」

「俺、ずっと生きる理由ってなんだって考えててよ……」


なっちゃんは、海の向こう、地平線を見つめた。

私は、なっちゃんの綺麗な横顔を見つめる。


なっちゃんの生きる理由が、見つかってくれてたらいい。

それでも見つからないなら、ずっと傍にいて、一緒に探す覚悟もある。

だから、なっちゃんの今の気持ちを聞かせて……。


「俺のせいで死んだお袋の事を思えば、俺にそんなもの見つけられるわけねぇーって思ってた」

「うん……」

「でも……俺が死んで、泣かせたくない女が、誰かのものになっちまうのが…嫌だと思う女が出来た」


そう言ったなっちゃんの視線が、迷わずに私に向けられる。


え……なっちゃん、それって……。

向けられる視線の意味を、知りたい。

怖いけど、ちゃんと……あなたの気持ちを知りたいよ…。



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