永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。


「ご、ごめんなさいっ。勝手にのぞいたりして……」

「……別に、とりあえず行くぞ」

「えっ、なっちゃん?」


そう言ってなっちゃんは私の手首を掴むと、迷わずどこかへと歩いていく。


「はぁっ、なっちゃんっ……」

そのスピードが少しだけ早くて、動悸がした。

胸もツキツキと痛む。


「はぁっ、クソッ、悪い、急ぎすぎた。大丈夫か?」

「う、うん……ふぅっ……」

なっちゃんが止まってくれたおかげか、少しだけ症状が治まった。


だけど、なっちゃんも辛そう。

ここに入院してるってことは、なっちゃんも私と同じ心臓病……?


「なっちゃんは、大丈夫?」

「あ?俺の事はいいんだよ、別に」


そう言いながらも、なっちゃんは空いている方の手で自分の胸をおさえている。


なっちゃん……どうして『俺のことなんて』なんて言うの…?

自分のことは、どうでもいいみたいな言い方…。

それに、なっちゃんはどこに行こうとしてるんだろう。


< 42 / 322 >

この作品をシェア

pagetop