永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。



「チャラ男……か」

「な、なっちゃん……」


私は慌ててなっちゃんの服の袖を引く。

私も、ちょっとその線を疑ったけど……。


「だって、付き合ってもねーのに、そんなこと言うなんて、聞くからに怪しいだろーが」

「それにしたって、単刀直入に言い過ぎだよっ」


オブラートって言葉をなっちゃんは知らないんだから。

しっかり者のほのかちゃんに限って、それは無いって。

質問の答えに驚いていると、ほのかちゃんが寂しそうに笑う。


「1度だけ、好きって言ってもらえた時があったんだけど……」

「え、なら2人は付き合って……」

「私が、話をそらしちゃった……。だって、いつ消えるか分からない命だし、手術をして、助かる保証も無いでしょ?」


ーズキンッ

ほのかちゃんの胸の痛みが、伝わってくるようだった。

だって、痛いほどその気持ちがわかる。

絶対なんて無いから、私達は……怖いんだ。


ーー愛する人を残していく未来。

ーー何も得られずに終わる命。

ーー後悔を残して、空へと旅立つことを。



< 61 / 322 >

この作品をシェア

pagetop