永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。
「なら、今から逃避行と洒落込むか」
「……え?」
今から逃避行……って……。
なっちゃんは月明かりを背に、手を差し出す。
その顔は、この上なく不敵だ。
「この手は……?」
「ここにいたらどこへも行けねーぞ。親か医者かが絶対に止めるだろうな」
「それは……確かに」
両親が知ったら、力づくでも私を止めるだろうな。
友達と遊びに行くことすら止められたくらいだし……。
「俺が、連れてってやるよ」
「でもなっちゃん、体は大丈夫なの?」
私、なっちゃんの体のこと聞いたことなかったけど……。
あの胸の痛がりよう、私と同じ心臓病だ。