永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。


私は、床頭台に仕舞ってあった私服に着替えて、コートを羽織る。

このコート、お母さんが、誕生日に買ってくれた、クリーム色のダッフルコートだ。


「ごめんね、お父さん、お母さん」


それでも私、どうしても行きたい場所があるんだ。

そう決意を固めて、スリッパから外靴のブーツに履き替えた。


最後に、赤色のマフラーを巻いて、私は部屋を見渡す。


「圭ちゃん、つぐみちゃん……」


スヤスヤと眠る2人に歩み寄ると、起さないようにその頭を優しく撫でた。


さすがに、2人は連れていけない。

なにせ、命懸けなんだ。

私がいなくなったら2人は寂しがるだろうな。

ほのかちゃんもいなくなってしまったから……。


「何も言わずに行くことを許してね……」


そう言って、名残惜しくその手を離す。

そして今度は、ほのかちゃんのベッドサイドへとやって来た。



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