永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。
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医療センターをなんとか抜け出した私たちは、足早にバス停を目指した。
時刻は午前3時、空はまだ暗いが、東の空はやんわりと明るくなっている。
まさに、瑠璃色の美しく絶妙なコントラスト。
とても幻想的な旅立ちの朝だった。
「なっちゃん、よく職員用の出口なんて知ってたね」
「あぁ、いつか脱走してやろーと思ってたからな」
「そうだったんだ……」
なっちゃん、手術のこと、すごく嫌がってたもんね。
強行突破される前に、逃げ出そうとしてたのかも。
なっちゃんならやりかねない。
「それにしても、ふぅっ、久しぶりの外は、寒いねっ」
肺に入ってくる空気が冷たい。
両手を擦り合わせていると、なっちゃんが私の手を掴んだ。