永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。


「ふう、これ着けてろ」

「え……なっちゃん?」


すると、なっちゃんは自分の着けていた手袋を私に着けてくれる。

わぁっ、なっちゃんの温もりが残ってる……。

すごく、温かいけど……。


「これじゃあ、なっちゃんが寒いよ」

「んじゃ、その手貸せ」

「あっ………」


そう言って手を掴まれると、なっちゃんのコートのポケットに突っ込まれる。

その手は、なっちゃんと繋いだまま。


「あー、あったけー。チッ……マジ寒いな、何度だよ、これっ」


悪態をつきながら、私の手を握るなっちゃんの横顔をこっそり見上げる。


自分も寒いのに、私のこと優先してくれたんだ…。

やっぱりなっちゃん、優しい。


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