聖夜にセレナーデ
誰かに捧げる恋の歌
日曜日。
世間は休みだけれど、ホテル業界はやる仕事が1番増える日。
この日に休める事なんてまず無い。
たまに、オフィスで働いていた時のように日曜日に休みが取れたらなあなんて思う事もあるけれど、今日ばかりはこの職業に感謝する。
クリスマスも重なって、凄まじい忙しさに、昨日のコンサートの事なんか考えずにいられてるから。
もう少しだけ頑張れるかもしれないと思ったけれど、やっぱり寂しさは拭えなくて、1人、ベットの中で震えて泣いた昨日の夜。
今日は朝から、腫れた目元をどうにかこうにかメイクで誤魔化した。
自分の心は誤魔化せなかったけど。
ふとした時に泣きそうになる。
でも仕事中は、笑顔を貼り付けていられるから、仕事に忙殺されている方が精神的にも楽らしい。
「あと1時間か…。」
夜1人で過ごす時間が恐ろしい。
同僚で仲良しの麻美を飲みに誘いたいけれど、悪酔いして愚痴りまくるのが見えてるし…。
…どうせだから、溜まった仕事片付けようかな。
職場にいる方が1人で過ごすよりマシだよね。
就業時間を終え、フロント奥の事務作業の部屋で宿泊プランの企画書を作成していく。