別れるための28日の蜜日
もしも逆の立場なら、私が律人に振られる立場なら、きっと納得できる言葉を聞くまで連絡を取ろうするだろう。

でも、それは私が律人を、好きだから。律人しかいないから。

新しい世界で輝かしい未来と愛らしい縁談相手がいる律人は連絡を取ろうとしてくれるだろうか?私にはその自信が、愛されてる自信がないんだ。

「別れるって言うくせに追いかけて欲しいなんて、山内さんって無自覚の悪女なのかな。ワガママだし、矛盾し過ぎ」


町田さんの指摘は遠慮なさ過ぎでキビシイけど、間違ってないな。うん。


「あー、でもこれって女子はみんな考える事だと思いますよ?」

「じゃあ、オンナはみんな悪女なワケだ。面倒くさいわけだよ」

ボソッと言った町田さんが可笑しくてクスクス笑ってしまった。

「ホント、町田さんに頼んで良かったです。まさか、今日笑えるなんて思ってなかったし」

そう言った私に、安心したように表情を緩めた町田さんは、「なんかあったら電話して」と言い置いて帰っていった。
< 120 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop