別れるための28日の蜜日
1人になると、ふっと気が抜けた。

一旦手を休めたくなるが、目の前に広がる荷物たちを見るとそうもいかない。それに、部屋の隅には未だに捨てられてない律人のモノ達もあるのだ。

時計を見るともう昼前だ。ざっと片付けて、遅いランチがてら出かけてしまおう。もし香苗が良いと言ってくれるなら、そのまま泊まりに行くのもありだし。

「香苗に頼んどけば良かったなー。ホント、無計画だ」

自分を残念に思うけど、この無計画さがなかったら今回の計画はなかった。この先お互いに傷つけあって辛い別れをする可能性をなくした、と考えたら結果オーライだ。

この計画を立てなければ短期間といえど律人と一緒に住むこともなかったし、新婚さん気分も味わえなかった。別れるゴールが決まっていたからこそ、心穏やかに満喫出来たんだと思う。



無計画なわりには上出来だ、私。



薄い笑みを浮かべたまま、黙々と荷物を片付ける私の心には不思議な満足感が漂っていた。

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