別れるための28日の蜜日
その時に誰かに何かを言われた訳じゃない。どこの令嬢でもない私に皆さん、親切にしてくれた。

でも、初めての顔を見せる律人と、それに距離を感じた自分がいて。
それは私が立ち止まって考える、十分なきっかけになった。



「なぁ、やっぱり生姜焼きも作ってくれる?」

お買い得シールの貼られた豚肉のパックを手に律人が振り返る。

「もっと野菜が食べられるメニューにしようよ!どうせ普段、料亭かコンビニなんでしょ?」

「でも百合の生姜焼き食いたいんだよー」



こうやって買い物してしてると、前と何にも変わらないのにな。


私の前でこうやって気の抜けた表情を見せてくれるのは気を許してくれてるからだと思えば嬉しい。そうやって律人を癒していきたいともおもう。

でもそれだけでは一緒に生きて行くのには不十分なんだ。
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