別れるための28日の蜜日
「ホント、新人つかえないんだよ」

「いや、うちの課長のほうが使えないっしょ」

まさに中間世代。同期は上と下への不満を吐き出せる貴重な存在だ。

「ね、ちょっといいかな」

いつもなら香苗の隣でのんびり飲んでるはずの私が横に座った事に驚いて、飯島君が飲もうとしたビールジョッキを空中に止めた。

「あ、あぁ。山内が珍しいな」

驚きながらも私のために机の上をよけて、少し片付けてくれた。

「どうした?稲垣になんかあったか?」

「ううん。相変わらず忙しいけど元気だよ。飯島君も連絡取ってるんでしょ?」

「いやー、最近は全然だな。飲みに誘っても忙しいって来ないし。付き合い悪いんだよ」

「ホントに凄く忙しいんだよ。私もなかなか会えないもん」

「山内でも会えてないならホントなんだな」

枝豆を摘みながら淡々と話す飯島君がこちらを向いて、で?と右の眉を上げた。
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