別れるための28日の蜜日
「あのね、ちょっとお願いがあるの」

席に戻ってすぐに切り出すと、ん?と律人が視線を合わせてきた。

「うちのマンション、明日から2週間、外壁塗装なの。でね、もし律人が良いなら塗装の間だけ、泊まらせてもらえないかと思って」

ちょっとだけホントで、ちょっとだけウソ。マンションの外壁塗装は3月だとお知らせが来ていた。

「外壁塗装?」

「そう。作業自体は昼間しかしないんだけど、足場とかあって洗濯物も外に干せないし、ちょっと落ち着かないかなぁって」

律人の表情を窺うようにチラリと上目遣いで見ると、なぜか狼狽えている。

「律人?」

「え?あ、うん、別に俺は構わないよ」

「じゃあ、明日から行っていい?」

ちょっと強引かな?と思いつつ話を進めると、律人が口元を手で覆って横を向いた?

あれ?まさか、照れてる?って、そんな訳ないか。
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