別れるための28日の蜜日
イラズラっぽく笑った律人が伝票を持って立ち上がった。

「決まったら善は急げだ。早く仕事に戻ったら夕飯も一緒に食べられるかもしれないし。急ごう?」

「うん」

私が行く事を律人も楽しみにしてくれてる。それだけで心がフワフワと浮き立って来た。




「荷物持ってくるからちょっとだけ待ってて」

私の住むマンションの前に車を止めてくれた律人に言うと、不思議そうに見られた。

「え、なんで?荷物多いだろうし、俺運ぶよ?」

すでにシートベルトも外してドアに手をかけているし、このまま一緒に部屋まで行くのが当然って顔してる。

まぁ、普通は当然だろう。
買い物しててもいつも荷物を持ってくれるフェミニスト律人が2週間分の大荷物を私に運ばせるつもりはないのも、私も分かる。

でも、マズイ。今、律人に部屋に入って来られるのは非常にマズイ。
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