別れるための２８日の蜜日

町田さんから頼まれた仕事は資料を揃えて手順を整えただけにして、手を付けずに仕事を終了させた。
あれだけ準備したら、明日の午前中には提出できるだろう。

いつもなら少々無理してもその日のうちに終わらせる仕事も明日にまわすのを迷わないくらい、私には優先させる事がある。

今は、今月は。

駅から律人のマンションまでの間にあるスーパーは周辺の住人層に合わせたのか、ちょっと高級志向で、普段使うにはためらう値段設定だ。でもその分、新鮮で品質は良い。

スーパーの中、カゴを持って歩きながらぼんやりと律人の好きなメニューを思い浮かべた。一緒にいる間だけでもなるべく体に良いものを食べてもらいたいなんて、自己満足だけど。

会社を出た時に確認したスマホには律人から帰宅時間を知らせるメールが来ていた。
私の帰宅時間とは２時間くらいしか差がなくて、その間に買い物と調理、自分の着替えもするならあまり時間はない。

時間がない時はチャチャッと炒め物に限る。気持ちを切り替えて、豚肉とキャベツ、汁物の具にキノコと豆腐もカゴに放り込んで、レジに向かった。