別れるための28日の蜜日
呆然としたままリビングに戻ると、スウェットに着替えた律人が照れ臭そうに迎えた。

「なんか、俺、子供みたいだったな‥‥ごめん」

「うん。正直、びっくりした」

素直に答えたら、律人も素直に教えてくれる。

「百合がいるって思って帰って来たらいなかったから、なんか凄く焦っちゃって。自分でもなんであんなに焦ったのか分かんないんだけど」



‥‥どうしよう、キュン死にする。


それって物凄く愛されてるみたいじゃないか。顔を赤らめて髪を乱暴に掻き乱す律人が真っ直ぐ見られない。

「‥‥あ、えっと‥‥‥うん。と、とりあえず夕飯にしよっか」

なんとか態勢を立て直そうとしたけど、舞い上がったまま着地出来なかった私が作った夕飯は回鍋肉なのにお味噌汁。

味噌味に味噌味って、センスを疑われる組み合わせだ。作った自分でもちょっとショックだし。

でも律人はニコニコと全部平らげてくれた。
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