別れるための28日の蜜日
「うん、取引先の社長のお嬢さん。その社長は叔父さんの学生時代からの友人だから、俺にも良くしてくれてるんだ」

「へぇー。社長令嬢って感じだったけど、やっぱりそうだったんだ。美人だし性格良さそうだし、いい感じの人だね」

なんでもない世間話のように話すと、律人もうなずく。

「あぁ。傲慢なところもないしな。ホントのお嬢さんってあんな感じなのかもな」


‥‥好印象じゃん。なんだよ。


「寒くなったから帰ろっ」

話を切るように言って、ずんずんと歩き出した。

まだ2月だから。だからまだ、もう少し待って下さい。

可愛らしく微笑んでいた相沢さんを思い浮かべて、心で呟く。

もう少しだけ、律人の彼女だから。好きでいる事もそばにいる事も、まだ私の特権だから。



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