別れるための28日の蜜日
私の疑問が分かったんだろう。何も言ってないのに先回りして教えてくれた。

「町田さんって人あたりいいし、ずば抜けて出来るわけじゃないけど仕事の評価も悪くない。
でもその平均点な感じとか、なーんか胡散臭いんだよね。あの笑顔も嘘くさいってか」

「‥‥香苗、凄いね」

心底からの感嘆の声が出た。

同じ部署で何年も働いていても、私は町田さんの本当の姿に全然気付かなかった。

「あ、やっぱりそうなの?」

「うん。私、全然知らなかったからビックリしちゃった」

「へ?じゃあ、何にも気付いてないのに頼んだの!?‥‥あんた、警戒心持ちなさいよ。女子高生じゃあるまいし」

「‥‥すみません」

実際、今時の女子高生の方が警戒心をもってるかも。人生の大事な決断に協力を頼むって相手なのに‥‥。

「ま、いいんじゃない。ホントに腹黒ならいっそベストな人選かもよ?」

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