別れるための28日の蜜日
昼にしょっぱいパスタを食べたからか、夜ご飯には薄味の和食が食べたくなった。

きのこの五目ご飯とお味噌汁、鯖の塩焼き。五目ご飯と鯖はいつもより薄味に仕上げたけど、考えてみたらランチがしょっぱかったのは私だけだ。

「薄味だと、律人にはものたりないかなぁ」

当たり前だけど、誰かと一緒に住むと自分の好みだけを追求する事は出来ない。自分だけなら『まぁいっか』で済ませちゃうことも出来るけど、相手がいるとそうもいかない。

先に家に帰って家事をしていると、ついつい確認のための独り言が増えた。独り言って寂しいイメージだったけど、誰かを思ってのこんな独り言は幸せだと思う。

「今週だけ、なんだなー」

来週からは寂しい寂しい、ホンモノの独り言になっちゃう。

苦笑しながら律人用にもう一品作ろうと冷蔵庫を覗いている時に玄関のチャイムがなった。律人が帰ってきたんだ。

バタンと冷蔵庫を閉めて、玄関への急いだ。

今日は一緒に夕飯を食べられるんだと思うと、それだけでテンションが上がるなんてホント、単純だ。
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