偽りの翼Ⅱ




千尋くんの言葉はなんだかぎこちない。




「それが、どうかしたの?」




そう、言ってみる。




「俺も、好きな子いるんだ」




ここにきてまさかのカミングアウト!




千尋くんにもいるんだね、そういう子!




いや、いるか。いるよね…うん…そうだよね……




「そうなんだ」




少し、声が震える。




私の恋は叶わないのかなぁ




なんて思ってしまったから。




「で、その好きな子が………」




彼はこの言葉の先、何を言うのだろう




もし、好きな子の名前や話をするのであればあまり聞きたくないなぁ




そう思った時だった




「花恋、…なんだけど。」





不器用な言葉が発されたのは。









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