偽りの翼Ⅱ
でも、李玖は諦めてなんかいなかった
そんな前向きな李玖だからこそ
乗り越えられると私は思った
「僕は、自分が死ぬなんて思っていないよ。そんなこと考えてもしょうがない。」
同じ部屋にこんな男の子がいる―――
それだけでなんだか心強いなって思った
「李玖はすごいよ。そんな考え方私なら絶対無理だなあ…」
「だってそう考えていないと心が腐っちゃうよ?」
心が腐る…
確かにそうかもしれない
「僕はね、退院した後のことを考えるのが好き。」
「たとえば?」
「美味しいもの食べたり友達とカラオケ行ったりさ…僕、まだそういうのしたことないんだ」
「ないの?」