偽りの翼Ⅱ
それから1ヶ月着々と私たちは愛を育んだ。
何度も喧嘩した
その度に仲直りして。
そうやって積み重ねていった
その幸せが崩れる音を聞いたのは、
千尋とデートして帰り際の
「またね」
を言い合ったあと。
千尋はもうすでに歩き出してしまっていて。
私は近づく車に何をすることもできず
盛大なクラクション音、ブレーキ音…
「花恋ッッ!!!!!!」
この音で振り返ったのだろう千尋の声を聞いて
ドンッ
という鈍い音とともに意識を飛ばした