偽りの翼Ⅱ




「グレード4となれば自覚症状もあったはずだ。それに、退院後、一度入院をしているね?」




「はい」




じゃあ、あの時の花恋の頭痛は…っ





「きっと、そのときにはもう再発していただろうね」




ずしっと何かが乗ったような気がした




やっぱり…何が異常なしだよ…




あの藪医者…!





「稀にあるんだ。見つかりにくい場所にあってね」




でも、もっと早く見つかれば……!





「こちらの失態だ。………私が花恋ちゃんについていれば……」




櫻田先生は苦しそうに言った




「とにかく、今は花恋ちゃんを助けるために全力を尽くしたい。……千尋くんも彼女を支えてやってくれ」





俺に、何ができるというのだろうか。





ついこの前、自分の無力さを痛感したというのに。












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