偽りの翼Ⅱ
「そうか。花恋ちゃん事故のこと覚えてるかい?」
事故…………?
そっか。
私、事故ったんだっけ?
でも………………
その時のことがもやがかかったように思い出せない。
思い出せそうで、思い出せない。
………そんな感じ。
「覚えて、ない?」
春樹先生は顔をしかめた
「もやがかかったように、思い出せなくて……」
「自分の名前は?」
春樹先生は目で訴える。
「きさらぎ、かれん……」
自分の名前ぐらいわかるもん…
「じゃあ、彼の名前は?」
そう言って、先生が指したのは私と同じくらいの……男の子。