偽りの翼Ⅱ




「彼女の記憶を無理に呼び覚まそうとすれば、彼女は重度の頭痛と過度のストレスを伴うことになるだろう。」




「そ、んな」




俺はあいつの記憶にいないままなのか?





「君にも、彼女にも残酷なことだと思う。だけど、彼女の幸せを1番に考えるなら、それが1番なんだ。」





あいつの…、花恋の、幸せ―――――






俺は、花恋が幸せならいいと思う………






もし、俺が諦めれば花恋は幸せになれる?






だけど、俺がいなくなったらだれがアイツを守っていくんだ?




1年間……それがアイツの生きれるリミットだっていうのに。





「櫻田先生。」






俺がアイツのそばにいなくちゃいけねぇんだ






「………どうする?」





「俺、あいつのそばにいます。………アイツには両親がいません。そんな中、放っておくことはできません。」





支えるのは、俺しかいねえ。





「無理に記憶を思い出させようとか、そんなことはしません。友人として、アイツに関わっていきます。」





花恋が思い出すのを待つ。





「君は、それが、君にとって、彼女にとって、どんなに辛いことかわかっているのか?」





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