偽りの翼Ⅱ



「透には、そのまま彼氏のふりをしてほしい。アイツが思い出す時が来るまで。」




ほんとは嫌だけど… 





「いいのかよ?あと1年、なのに」





いいわけ無い。






だけどしょうがねぇんだ






「俺のことを思い出そうとすると花恋を急激な頭痛が襲うんだ。ただでさえ脳腫瘍なのに負荷をかけるわけにはいかねえ」




「………そう、だな」





「お願いしてもいいか?……お前にしかできねぇことなんだ」





「ああ。それはいいけど…。お前は後悔しねぇのか?」





後悔するのかな?





………でも、あいつが最期の時まで笑って過ごすにはそれしかねぇんだ




「まぁな。…………明日、あいつのところに行ってやってくれ。普通にしろよ?バレねぇとは思うけどさ」





「わかった。お前は?明日行くのか?」




「行く。」




「そうか。じゃあ明日一緒に行こうぜ」




透は普通にそう言うけど




……………目の前でふたりが二人だけの世界なんて作っちゃ嫌だし。




……………でも、花恋がどういう反応をするのかは見たいし。





―――――一緒に行ったほうがいいよなあ






< 258 / 360 >

この作品をシェア

pagetop