偽りの翼Ⅱ
「透には、そのまま彼氏のふりをしてほしい。アイツが思い出す時が来るまで。」
ほんとは嫌だけど…
「いいのかよ?あと1年、なのに」
いいわけ無い。
だけどしょうがねぇんだ
「俺のことを思い出そうとすると花恋を急激な頭痛が襲うんだ。ただでさえ脳腫瘍なのに負荷をかけるわけにはいかねえ」
「………そう、だな」
「お願いしてもいいか?……お前にしかできねぇことなんだ」
「ああ。それはいいけど…。お前は後悔しねぇのか?」
後悔するのかな?
………でも、あいつが最期の時まで笑って過ごすにはそれしかねぇんだ
「まぁな。…………明日、あいつのところに行ってやってくれ。普通にしろよ?バレねぇとは思うけどさ」
「わかった。お前は?明日行くのか?」
「行く。」
「そうか。じゃあ明日一緒に行こうぜ」
透は普通にそう言うけど
……………目の前でふたりが二人だけの世界なんて作っちゃ嫌だし。
……………でも、花恋がどういう反応をするのかは見たいし。
―――――一緒に行ったほうがいいよなあ