偽りの翼Ⅱ




「この部屋?」 



花恋の部屋の前で透は俺に確認した



コクリと頷くと、透は緊張した面持ちで扉に手をかけた。




ドアが開くとびっくりしたような様子の花恋が目に入る。




そして目を輝かせると、




「透!」




嬉しそうに透の名前を呼んだ




一瞬透は、驚いたけどすぐに




「心配した」




と、花恋の頭をそっと撫でた




「透を連れてきてくれてありがとうございます…っ」




花恋は満面の笑みでそう言った。




よくよく考えてみれば、影を舞う蝶の記憶もないわけで。




この花恋は俺が知らない、純粋で真っ白な花恋なんだ。





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