偽りの翼Ⅱ
「あ、あぁ。」
本当に花恋の顔は幸せそうで。
俺は
「俺、席外すわ。」
二人の邪魔だしな、とおどけて言いながら
外に出てしまった。
思ったより、花恋が幸せそうに笑うから。
思ったより、えぐられた傷は大きいから。
何よりふたりを見て自分自身が耐えられそうになかったから…
もう、俺が花恋を幸せにすることは出来ないかもしれない。
そんな確信に近い不安を抱きながら
俺は中庭に出た。
「千尋くん。」
俺の視線の先には、
櫻田先生がいた。
「どうした?酷く疲れた顔をしているね?」