偽りの翼Ⅱ
「こんなこと、僕がいうのも可笑しいかもしれないけど…運命の人って巡りあうと思うんだ。――――このはもそうだったから。」
「巡りあう…」
俺はつぶやいた
「そう。何も人生は今だけじゃない。これからも続いていくんだよ。一本道が外れたところで運命は変わらない。元の道に戻るんだ。」
運命は、変わらない。
そうなのかもしれない。
俺が今のことしか見えていないのは確かだ。
「花恋ちゃんは僕が絶対助けてみせる。」
医師は絶対って言葉使っちゃいけないんだって。
いつかそんな言葉を聞いたことがある。
「奇跡ってさ、重なるんだよね」
意味ありげに櫻田先生は言った。
櫻田先生なら…本当に助けてくれそうな気がする……
「じっくり考えて見なよ。どういうふうにするのかは自分次第。間違っても大丈夫。たどり着く場所は同じだから。」
「はいっ…!」
俺は迷わず返事をした。
櫻田先生の言葉が全部胸にスッと落ちた。