偽りの翼Ⅱ




俺達は、その夜たくさんのことを語った。




例えば、東京に行ったら何をするか。





裕翔は東京に行ったら、夜の仕事についてNo.1になりたいという。




そう語る裕翔の目は輝いていて。




「もし、俺が東京に行ったらお前も一緒に仕事しようぜ」 




なんて言われた。




あとは、憧れている人の話。




―――月影をつくった、咲人さんの話。





これから、裕翔は組を継ぐことになっているらしい。




だからいつか裕翔も東京に来るという。




19まで自由にやらせてもらっているという裕翔。




今は妹が心配だと彼は言った。




「俺が組を継げば、美羽は一人になる。」




両親ともにいるようでいないから。





でも、生きているのだからまだ幸せだ。





俺のお袋は癌で死んだのだから。





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