偽りの翼Ⅱ



「花恋ちゃん、大切な話があるんだ」



私は櫻田先生に呼ばれた。



「なんですか?」



櫻田先生はひと呼吸おいて言った。



「花恋ちゃんに前…脳腫瘍の話はしただろう?」




――――目覚めてから、少したったときそれは聞いた




でも、告げられたのはそれよりも悲しい現実





「君は、あと一年しか生きられないかもしれない。」





「……え?」



  

「手術をすれば完全に腫瘍を摘出することもできる。でも、君の場合場所が悪くてね……。危険な手術になるだろう。」





私、死んじゃうの?




――――――――もう、一年もないの?





「でも私、そんな大金払えません。…両親がいないので。」





「君に両親がいないのは知ってる。おばさんと話してみて検討しよう」





百合香おばさんに……?





「いや、それは…!」





しばらく百合香おばさんには会いに行ってないの。





「君はね、愛されてるよ。僕は約束したんだ、彼と。…君を必ず助けてみせるよ」







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