偽りの翼Ⅱ





「ねえ、透。私の忘れた記憶は楽しいものだった?」




次の日私は透に聞いた




「なんで、そんなこと聞くんだよ?」




「思い出したいの、失くした記憶を。」




はっきりそう告げると、彼は首を振った




「このまま死にたくないの。忘れたまま。」





「花恋は死なねぇだろ?…手術して、会いに行ってやれよ…」




透は言った。




「え……どういうこと?」





会いに行ってやれよって…………?





誰に?





「誰に?………どういうことなの?」






「いや、ごめん。…なんでもない」






バツが悪そうに彼は言った






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