偽りの翼Ⅱ
この寒さの中、待ち続けるであろう千尋を想像しては胸が痛かった
「連れていかれた会食で待っていたのは、私の婚約者という人だった」
『はじめまして、奏さん。』
彼……金城グループの御曹司である金城蒼はそう言った
『はじめまして…』
どちらかと言えば人見知りの私は小さな声で呟いた
『緊張しないで、奏さん。』
蒼さんは優しかった
『さあ、話を進めようか』
そう話を切り出したのはお父さんだった
『グループ合体となれば私たちに入るお金は多大なものとなるだろう』
『そうですね、その会社を動かすのは奏さんと蒼になる。…そういうことですね?』
『ああ。』
ちょっと、待ってよ?
合体?それは、どういうこと?