偽りの翼Ⅱ




ギリギリまで千尋と一緒に居たくて、私は3月に別れを告げると決めていた




「最後のクリスマスの日、私も突然聞かされたの、引っ越すことを。」




『なに、これ?どうしたの荷物なんかまとめて』




『引っ越すのよ、お父さんに聞かなかった?』




お母さんは目を点にさせていた




『聞いてないよ…、なんで?なんでよ、お父さんっ』




今日は…、今日こそは千尋と過ごすはずだったの





『お前がまだ千尋とかいう小僧と付き合っているのは分かっているんだ。』




『何が悪いの?私は好きな人といるだけじゃない。』




『お前には立派な婚約者がいるだろう?』




『利益のためだけに私に押し付けないでよ』




『考えを改め直しなさい。あの男とは二度と会わないことだ』





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