偽りの翼Ⅱ
私の話を千尋は黙って聞いてくれた
「それで…?奏は何が言いたいの?」
千尋は私にそう言った。
その口調は冷たくて。
あの頃の千尋とは違った。
でも、そうだよね。
私がどんなにお父さんに抵抗したからって、千尋からすれば結果的には私が消えたようにしか見えないもんね
悪いのは、わたし。
「ごめんね…」
それしか言えないの
「……奏は俺のことほんとに好きだったの?」
千尋はそんなことを聞いてきた
「当たり前だよっ…、大好きだった。」
嘘。
本当はね?今でも大好きなの。
でも、そんなことは言えないけどね