偽りの翼Ⅱ



一口お茶を飲むと、すーちゃんのお母さんが口を開いた



「純恋はね、あなたたちのこと毎日のように話してたわ。……覚えてるかしら?純恋とあなたたちで近くの川に遊び行ったの」



川?



「すみません、覚えてないです」




そう言うと、




「あの時、前日にあなたたちが川に行きたいって言ってたのは聞いてたの。



その日純恋があまりに帰ってこないから探しに行ったのよ、川にね。



その川は流れが速くてね。子どものあなたたちは危なかったの。


でもまだまだ怖いもの知らずのあなたたちは楽しそうにじゃぶじゃぶ遊んでいたわ。



暗くなっていくのも忘れてね



おかあさんたちはみんな心配してたわ。



でも楽しそうに笑っているのを見てギリギリまで遊ばせてあげたのよ?



次の日どうなったと思う?



みーんな風邪引いて寝込んだの。



でも純恋はね、熱で辛いはずなのにずーっとその川で遊んだことを嬉しそうに話してたのよ。本当に楽しかったようだったわ」




そんなこと、あったっけ……?





< 96 / 360 >

この作品をシェア

pagetop