Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
あこの腕を掴むあっちゃんの力が弱まる事は無かった。

痛いって言ってるのに…

『離してって言ってるでしょっ?ねぇっ!』

「うるせぇ!来い、車に乗れ!送ってく!」

あっちゃんは、怖い顔付きのまま、砂の上を引きずる様にあこを車に乗せた。

怖い…こんなあっちゃんは初めてだ。

ブゥン…

あっちゃんの車が向かっているのは、あこの家の方向。

どうして?…今日はあっちゃんの家に泊まる約束したのに…。

『あっちゃん…今日、あっちゃんの家…』

「ダメだ、今日は帰れ!」

あっちゃんのアクセルを踏み込む力が強くなって行く。

あっちゃんに嫌われたんだ…

帰れ!…なんて初めて言われた。

別に泣きたいわけじゃないのに、自然に目に涙が溜ってしまった。

「着いたぞ、早く降りろ!」

涙が溢れてしまわない様に、必死に耐えていたら、車は既にあこの家の前に停まっていた。

家の方を見ると、リビングには灯りがついている。

辺りはもう暗くなっていて、人気もない。

「降りろよ、早く…」

『うん…じゃあ…送ってくれてありがと。』

ポロッ
< 106 / 376 >

この作品をシェア

pagetop