Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
「………」

あっちゃんは、おばちゃんを無視して、あこを抱き抱えたまま、階段を上がり始めた。

トントントントン…

『あっ…おばちゃん、お邪魔しますっ!!』

あこは、あっちゃんの顔色を伺いつつ、あっちゃんの胸元で見えないおばちゃんに挨拶をした。

ガチャ

あっちゃんが部屋のドアを開けた途端、あこの大好きなあっちゃんの香水の匂いがほのかに香って来た。

ポスッ

あっちゃんは、電気も付けずにあこをベッドの上にちょこんと座らせた。

すると、あっちゃんもあこの前に膝をついて、あこを見つめ出した。

『あっちゃん?』

「あこ…今日はごめんな?悪かった…」

『ううん…あこもごめん…』

悲しそうな声のあっちゃんに向かって、首を大きく横に振った。

2人の目が次第に暗闇に馴れ始める。

暗闇の中のあっちゃんの目は、キラキラと光って見えた。

そして、とても悲しそうな顔で、あこを見つめながら話し出した。

「あこ?…俺は、お前の事一度も妹みてぇに思った事ねぇよ。

1人の女としてしか見てない。

確かに…今までは見境なくて軽かった…けど…」

あこを見つめる、あっちゃんの真剣な目に嘘が無い事だけは分かる。

「あこに…あこに手ぇ出さなかったのは、出さなかったんじゃなくて…出せなかった。

あこは、今までの女とは違って…特別だから。」

…そう言って、うつ向いてしまった。

『それはっ…あこが…した事無いから?…遠慮してたの?』
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