Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
「あこ!!」

え…この声…あっちゃん?

意識が薄れて行きそうな程の苦しい中、聞こえたのは、大好きな人の声だった。

中々車に戻らないあこが心配になったのか、あっちゃんは、コンビニの中へ入ってきた。

今起きている事態に気付いたあっちゃんの顔色が、みるみるうちに変わって行った。

「…有美!てめぇっ!!離せよ!!」

あっちゃんは、あこの胸ぐらを掴んでいた有美さんの右手を引っ張った。

「あ…つし…」

有美さんの鬼の様な顔付きが、とてもとてもか弱い女の子の顔付きへと変わってしまった。

その瞬間、あこの胸ぐらを掴んでいた、有美さんの手の力が揺るまった。

『うっ…ゲホッ…』

あこは、やっと有美さんの力から開放された。

でも、苦しさからか、真っ暗になってヘタリと座り込んでしまった。

「お客様っ?どうかなさいましたか?」

あこ達の騒ぎに、慌てた様子で、店員さんが駆け寄って来た。

「何でもないっす!…すいませんでした!!」

あっちゃんは、店員さんに深々と頭を下げると、今にも泣き出しそうな有美さんの腕を引っ張って、コンビニの外へ出て行った。

「有美!話あっから、来い!!」

「話なんて…聞きたくないよ!!」
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