Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
「悪ィ、無理だ…1年位前から、お前に恋愛感情なんて無くなっちまって…」

「はぁっ?何それっ…」

「俺の親父が死んで…俺なりにすげぇ辛くて参ってた時、お前はそんなんおかまいなしだったじゃねぇかよ!!

毎晩、夜中に酒持って人ん家にバイクで乗り込んで来たり…あれでお袋は頭おかしくなるし…だから家には帰れねぇし…」

そんな事があったの?

あっちゃんは、今きっと2年前を思い出して辛いんだね…声が震えてるよ…

それでも、あっちゃんは話し続けた。

「お前はいつも、自分の気持ちばっか優先で…

辛くて、人に頼りてぇ時にそんなんされたら…誰だって…。

今だってお前…あこに何してた?もうバカな事、やめようぜ?」

そう話すあっちゃんの目に、うっすらと涙がにじんでいた。

「ヒッ…グスッ…じゃあ、直すから!全部直すからぁっ…」

有美さんは、最後の力を振り絞る様に、力強い声を出した。

そんな有美さんを見て、あっちゃんは、唇をキュッっと噛み締めて…また、話し出した。

「…もう…遅ぇんだよ…

俺、初めて守りてぇヤツが出来たんだよ…マジだから…大切なんだ、あこが。

ごめんな…有美…」

あっちゃんは、優しい目であこを見つめながら、手招きをした。

『えっ…』

一瞬、戸惑ったけれど、でも、おそるおそるあっちゃんの側へ寄った。

あっちゃんは、あこの手を握ってくれた。

“大丈夫だから”

握られた手から、そう聞こえて来る様で、とても温かい。

有美さんは、うつ向いて、肩を震わせ、しゃがみ込んだまま泣き崩れていて…

「有美、マジでごめん…でも、今の俺はコイツが必要で…

あこが俺の目に映るもん、全部変えたんだ。だから…これからは俺が守り抜いてやりてぇ…幸せにしてぇんだよ!」
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