Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
しばらくして、やっと落ち着きを取り戻したあこは、何気なくバックミラーを覗き込んだ。

ドキッ……

バックミラー越しに、アツシくんと目が合ってしまった。

バックミラーの中から、アツシくんもあこを見つめていた。

な…何で?
何でこっち見てるの?

トクン…トクン…トクン…

鼓動の速さが増すと共に、また、あこの顔が茹でダコの様に赤く染まって行くのが分かった。

ヤダなっ…
本当に今日のあこはおかしいよ!!

あこは、赤面してしまったのがバレてしまわない様に、そっとうつ向いた。

「ヘイ!到着~!!」

やっぱりテンションが高いままのヒロトくんが、あことエリの座っている後部座席の方を振り返りながら言った。

真っ黒な硝子越しに、辺りをキョロキョロと見渡す、あことエリ。

到着~!!…って言うわりには、何も無い所に連れてきたんだね…

本当に真っ黒なんだけど…


そこは、ただっ広くて、気味が悪い程にシーンと静まり返って、真っ暗。

「ねぇ…ここ、何処?」

暗い車内に響く、不安いっぱいのエリの声。

エリの声を聞くと、ヒロトくんはますますテンションが高くなった。

「まぁまぁっ♪
しのごの言わずに、車から降りてみな?」

あことエリは、疑いつつも、ヒロトくんに言われた通りに車から降りた。

そして、辺りを見渡す。

…やっぱり何もないじゃん!

真っ暗で、足元には、アスファルトの地面が広がっているだけだ。

「おいっ!こっち!こっち!!
二人共、こっちに来てみな!」

あこ達よりも先に車から降りていたアツシくんが手招きをしている方へ、彼の明るい声を頼りに、小走りで駆け寄ってみる。


――――――!!!
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