Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
男の人の前でのあこの笑顔は、本当に珍しい。

お父さんの事がトラウマになっていたから、男の人の前では笑えない。
笑いたくなかった。

「へぇ~?
あこちゃんも笑うんだぁ!!印象変わったかも~!!」

ヒロトくんが、あこの顔を覗き込もうとして前屈みになった。

『やっ…やめてよっ!!何すんのよっ!』

何だか急に恥ずかしさが込み上げて来る。

だから、無理矢理頑張って、いつもの無表情にしてみる。

「へぇ~?へぇ~?」

それでも、ヒロトくんは、目げずに何度も何度もあこの顔を覗き込んで来る。

しつこいなぁ、もうっ!!!

バシィッ!

あこは、覗き込んで来るヒロトくんの額を、軽く叩いた。

「あたぁ~!!」

ヒロトくんが、わざとらしくその場に倒れ込んだ。

軽く叩いただけじゃん…
大袈裟な人だなぁ。

「ギャハハハハ~!!
だから言ったじゃん、あこに手ぇ出すなって言ったじゃんっ!……大丈夫?」

エリが笑いを堪えながら、ヒロトくんを起こしてあげようとして手を指しのべた。

「わぁっ…」

ドテッ!

悪戯好きなヒロトくんは、エリの手を思いっきり引っ張る。

案の定、エリはコケてしまった。

「痛ぁ~!!ばーか、ヒロト!」

「うるせぇ!騙されたお前がばーか!ヒャハハハ~!!」

何やらいい感じの二人につられて、あこも自然と笑ってしまった。

幼馴染みかぁ~!
ちょっとうらやましいなぁ。

「ギャハハハハ~、ざまぁ見ろ~!!エリのアホ~!!」

エリとヒロトくんが兄弟みたいにじゃれ合っている。

幼馴染み…ってゆうか、エリとヒロトくんって…

幼馴染みって言うより…

ポン!

「へ?」

あこの頭を大きな手が包み込んだ。

あこは、思わずアツシくんを見上げてしまった。

あぁ…まただ。
また、心臓が狂い出した。

トクン…トクン…トクン…トクン…

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