Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
あっちゃんの腕に抱かれながら、夜空を見上げた。

小さな星屑が、ピュンピュンとあこの目の前を横切る。

まるで、宇宙を走り抜けている様な感覚に陥った。

『キャーハハハハ!!
あっちゃん、走るの速過ぎ~…ギャッ!落ちる~!!!』

あっちゃんの腕から落っこちそうになって、シャツの袖にしがみついた時だった。

あこを抱き抱えながら走っていた、あっちゃんの足がピタリと止まった。

「ほい!到着~!」

『ありがとっ!!』

ストッ…

あっちゃんの腕から、そっと、アスファルトの上に降ろされた。

あこの目の前には、膝に2枚のバンドエイドを貼っているエリが、キョトン…と、立っていた。

『エリ?足…平気?』

大好きな親友、エリの顔を心配そうに覗き込んだ。

エリは、無表情で、あっちゃんを見つめた後、あこの顔を不思議な顔付きで見つめながら言った。

「アツシくん、どうやってあこの事手なずけたの?」

「はぁぁ~?」

ただでさえ、静かなこの場所に、あっちゃんの低くて、優しい声が小さく響いた。

「あこはねぇ…男の人にこんな風になついた事無いんだよ?

笑顔もね、あんまり見せたがらない。
…へぇ~!ある意味、奇跡だねっ☆」

確かに。
エリが言う事は、最もだった。

あこは、家族とエリの前以外では、あまり笑わない。

「アツシ!!お前~押し倒したんだろっ?」

「はぁっ!?
ヒロト、お前、ふざけてんじゃねぇよっ!!」

ヒロトくんが、あまりにも真剣な顔で、へんてこな事を言うもんだから、お腹を抱えて笑ってしまった。

この時から、段々…

あっちゃんは、あこの中で特別な存在になって行ったんだ。

理由は分からないけど。

確実に、大きな存在になって行ったんだ。

あの日に戻りたいよ、あっちゃん。
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