Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
『違うんだっ!ケンッ…ちがっ…』

ぎゅぅ…
ケンはあこを強く抱き絞めた。

「いいんだよ、それでもいい。

元彼でいっぱいのあこでいい。分かってる。
俺に気持ちが無いのも分かってる…

それでもいいから!」

ケン…。

『ウゥッ…
ケン…助けてっ!
辛い…苦しいっ…。
あこをッ…助けてっ…』

あこはケンの胸にしがみついていた。

「あこ…
お前…どんだけ抱えてんだよ?…

これからは、俺が支えてやるから…。

大切にする。」

お願い…
この真っ暗な世界から、あこを救ってください。

あこはケンの優しさにすがりつくしかなかった。

「…ぅん…」
あこは頷いた。

ふわり…ふわり…

「あ…雪だ。初雪。」
ケンの言葉につられて空を見上げた。

ふわふわ…ふわふわ…

まるで、あことケンを包み込むように、冷たい綿雪が降り注いでいた。

12月…初雪の日。
あこは、すぐそばにあった優しさに逃げた。
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