Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
昨年のあこはこんな風に余裕なんて無かったなぁ…

初めてで、怖くて。
でも、あっちゃんの…あっちゃんだけの物になりたくて…

あっちゃんと一つになりたくて…

あこは目を力一杯閉じてケンに身をまかせていた。

「あこ…お願いだから…

今だけでいいから…俺だけを見て?」

ケンの声が震えていた。

あこは目をそっと開いて、ケンの切ない顔を見つめた。

『うん…ケンだけだよ…』

そうだよね。
今、あこを包み込んでいるのは、もうあっちゃんじゃない。

ケンなんだ。

ごめんね…
不安にさせて、ごめんね?

X'masイブ。
あことケンは一つになった。

あこの心に開いた穴が少しだけ埋まった。


「ごめん…あこ、嫌だった?」

少し息を切らしながらケンはあこを見つめて、髪を撫でた。

『ケンだから…嫌じゃなかったよ。』

「あこ、こっちおいで?」
ケンはまだ肩で息をしているあこを抱き寄せた。

『フフッ(笑)…あったかぁい。』

ケンの腕の中は暖かかった。

優しさで一杯だった。

ケンがいるから、あこは寂しくないよ。

ケンがいるから、あこは笑えるんだよ。

でもね…ケン?
この幸せは、続く?

いつまで続くの?

ケンも、突然…あこから離れて行く?

神様。あこから、これ以上何も奪わないでください。
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