Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
その夜。
あこは優しさに包まれながら、深い眠りについた。

あっちゃんと別れてから、こんなにグッスリと眠れたのは、この日が初めてだった。

あっちゃん?
あなたはX'masイブを誰と過ごしたの?

幸せに包まれていますか?


『んっ?…ふぁーぁッ……』
朝、目が覚めるなり、あくびをした。

布団の中でぐぅーっと伸びをして、眠気眼をぐいっと擦った。

『イタッ……』

目元で何か固いものが擦れた。

『何っ……あっ…!』
右手の小指には小さなリングがはめられていた。

シルバーのピンキーリング。

「起きたな?(笑)」

ケンはもう起きていて、もう服も着て、髪までセットしている。

『ケン!これっ…?』
右手をいきなりケンに見える様に上に突き上げた。

「X'masプレゼント☆
あこの幸せが逃げません様にって!」
ケンは照れ臭そうに笑って、あこの小指にそっと触れた。

ケンはいつも、自分の事よりも、あこの事を考えてばっかり…

ケンが居てくれたら、幸せは逃げないよ。


あこはケンに幸せを一つもあげれなかった。

ごめんね?

『あり…がとっ…グスッ…』
あこはケンと付き合って、初めて涙を流した。

「えっ…あこ!
泣くなぁー(笑)泣いたらダメだぁぁー」
ケンは一生懸命、あこの目を撫でた。

相変わらず優しい手してるんだね…
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